私は2021年3月アグラオネマピクタムの存在を知り、2か月後の5月から本格的にアグラオネマピクタムを買い始めました。
それまでろくにアクアリウムはおろか、観葉植物すらかじったことはなく、右も左もわからないままアグラオネマピクタムを買い集め、1年間にものすごい数の失敗をしたと思います。今となっては「もっとああしていれば良かった…。」「このような状態にピクタムは買うべきではなかった…。」と猛省するばかりです。
アグラオネマピクタムピクタムは一般的に流通している観葉植物と比較すると、値段が高価でそれでいてコレクション性が高いです。故にとにかく初心者の方には失敗してほしくないんです…。
そこで、この記事はこれからアグラオネマピクタムを育ててみようと考えている人、まだ育て始めて1年未満の人向けに私の失敗を交え、しっかりと学べる育て方と購入方法をまとめています。
アグラオネマピクタムの用土
アグラオネマピクタムを育てる上で初心者は特に用土の組み合わせを気にすると思いますが、色々な用土を試した結果どんな用土でも水苔でも成長します!
ただ、「そうざっくりと言われても…。」と思う方も当然いらっしゃると思うので、個人的にアグラオネマピクタムを栽培する上でオススメの用土をまとめました。また、オススメの用土の後に筆者が普段使いしているパッケージ商品も記載してあります。
どの土をどのようにブレンドするかも楽しみの1つですが、土は必ずふるいにかけ微塵を除去してから株を植え付けるようにしてください。これをしないと微塵が粘土状になり、根が酸欠状態となって溶けます。
赤玉土(硬質)
観葉植物を育てる上での基本となる用土です。粒の大きさは小粒が使用されることが多いが、中粒を混ぜても良い思います。赤玉土を使用する比率は4割以上で粒が硬質であることが望ましいです。その理由は、硬質の用土でないと経年とともに粒が崩れ、粘土状に変化してしまった土が根の酸欠をもらたすからです。
なお、多くの趣味家に指示され愛用されているのが、「三本線」と呼ばれる赤玉土です。
鹿沼土(硬質)
赤玉土同様、基本となる用土。赤玉土に混ぜて使用することが多いです。鹿沼土を使用する比率は3割程度で、大きさは小粒や中粒どちらでも良いと思います。こちらも前述の理由から硬質であること推奨します(自分は始めた当初、ケチって安い鹿沼土を使って大失敗しました)。
アイリスオーヤマ ゴールデン粒上培養土
アイリスオーヤマが運営するアイリスプラザでは在庫切れを起こすぐらい支持の高い培養土です。赤玉土や鹿沼土に混ぜて使用するも良し、単体で使用するも良しです。
ただし、赤玉土のように無機質の土ではなく、有機質の土なので、加熱処理しているとはいえ健康状態の良い株にのみ使用するべきです。また、個人的にはバーミキュライトはふるいにかけ、除去することを推奨します。なぜなら、バーミキュライトが鉢内に上手く散りばめられていない場合、バーミキュライトが固まって微塵同様根に酸欠をもらたす可能性あるからです。ゴールデン粒上培養土のブレンドして使用する場合の比率は1~2割程度です。
パーライト(または日向土)
用土内を乾きやすくするという意味で2割前後ブレンドして使用します。パーライトでも日向土どちらでも良いですが、個人的には黒曜石由来のパーライト推し(パーライトと日向土、どちらも使用した上で執筆しています)。パーライトは粒の細かくて均一なものではなく、それなりに粒の大きいものを使用することをオスメします。
水苔
水苔の扱いについては慣れが必要です。水苔を使ったことのない初心者の方にとっては苦手意識が芽生えるかもしれませんが、慣れると用土よりも乾きにくいため、特に仕事で植物を毎日しっかり見ることが難しい方にとって非常におすすめです。
AAAランク以上のニュージーランド産の水苔が趣味家の間では推奨されていますが、現状AAAランク以上の水苔は入手し辛い状況にあります。
なお、個人的な水苔のおすすめがAAAAランク以上です。AAやAAAの水苔でも問題ありませんが、AAAAランク以上の水苔はAAAの水苔よりも白く、ピクタムの緑を一層引き立たせます。
基本的な用土構成
SNSを眺めていると、赤玉土をベースとし、そこに3割程度の鹿沼土をブレンド、人によってはアイリスオーヤマのゴールデン粒状培養土やパーライトなどをブレンドされている方が多いような気がします。
また、中にはアイリスオーヤマのゴールデン粒状培養土を基本とされている方もチラホラ。
個人的にはパーライトなどをブレンドすることによりしっかりと根が乾き、しっかりと酸素を取り入れることができる環境を構築してあげれば、調子を崩しにくくなると思います。
自身が普段使っている用土について
長々と用土について記しましたが、筆者は現在プロトリーフさんの粒上かるーい培養土をふるいにかけて使用しています。ふるいにかけ使用しないと微塵が粘土状になり、根を溶かす原因となりますので注意してください。
アグラオネマピクタムを育てているけど、根が半透明になって溶けてしまう…。と悩んでいる方に強くオススメしたいです。もしあなたが、「あの土はどうかな?」「これらの用土のブレンドはどうかな?」と用土の配合に悩んでいるなら、騙されたと思ってこの土で3ヶ月ほど株をケージ内で育成してほしいです。
環境にもよりますが、「土の乾燥が早すぎる…」と感じた方は赤玉土を追加しても良いかもしれません。保水性、保肥性が改善されるはずです。
水捌けが非常に良い培養土なので、ふるいにかけ使用してもらえれば根が溶けるといった悩みから解放されると思います(だからといって水やり過多は厳禁)。
- あまり多くの種類の用土を抱えたくなかったw
- あらかじめ酸性に調整されている
- 粒が大きめのパーライトが含まれている
- 水に濡れたときの用土の色合いがとても綺麗
- 用土が乾くと色が変化するので水やりのタイミングが分かりやすい
賃貸物件に住んでる方におすすめしたい培養土
賃貸物件に住んでいる方にとって、アグラオネマピクタムに関わらず園芸の趣味を楽しむうえで「使い古した用土の廃棄問題」に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?
そのようなお悩みを抱える方におすすめしたいのが、国華園さんの「プレミアム かる~い培養土」です。
培養土としては軽いうえに、天然植物性原料(ココピート、バーク堆肥、ピートモス、腐葉土、くん灰など)を使用しているため、使用後は可燃ごみとして廃棄が可能です。
AAAAやAAAAAランクの水苔が入手しくい昨今、培養土自体は赤玉土単体などと比較すると少々割高ですが、廃棄コスト等を鑑みるとコストパフォーマンスに優れた培養土です。
アグラオネマピクタムの鉢
アグラオネマピクタムを育てる上で趣味家に支持される鉢は基本的に3種類に分かれます。
1種類目はスリット鉢で、2種類目が菊鉢、3種類目が半透明のプラスチック鉢です。根の張りを考えたらスリット鉢の方が良いかもしれませんが、私は半透明のプラスチック鉢に黒いポリポットを被せ育成しています。
半透明のプラスチック鉢を選んだ理由は根の張り具合や、用土の乾き具合を一目で目視確認できるからです。非常に安心感があります。
なお、半透明のプラスチック鉢ですが、私は普段楽天またはAmazonの所沢植木鉢センターさんから購入しており、中株は12㎝、子株は7.5㎝の鉢を使用しています。
株を植えこむ際の注意点として、必ず株の大きさに見合った鉢に植え込むようにしましょう。例えば、まだ根の少ない子株を大きめの鉢に植えこんでしまうと、鉢内の用土がいつになっても乾かず、株が調子を崩してしまう恐れがあります。
葉が2~3枚程度の子株であれば7.5~9㎝ぐらいの鉢に植えこむようにしましょう。
また、黒いポリポットも底に穴の開いた12㎝、7.5㎝のものを使用しています。
アグラオネマピクタムの湿度
我が家の場合、湿度はエーハイム レプタイルゲージの中で60~70%前後ぐらいで推移しています。
余談ですが、レプタイルゲージを買うなら1番のおすすめは90㎝のサイズです。60㎝だと高さが45㎝と少し心もとないですし、120㎝は大き過ぎてとても大人一人で動かせるような代物ではありません(なお、私は60㎝を1年以上使用していました)。
90サイズのレプタイルケージは今やWEBで販売されているのを見つけたら本当にラッキーとも呼べるぐらい見つけることが困難です(2022年9月時点)。もし見つけたら少々値は張りますが、真っ先に購入するようにしましょう。60サイズなら90サイズよりかは見つけやすいかもしれません。
湿度を保つという意味ではレプタイルケージでなくとも、水槽に蓋をしたり、ダイソーで400円で購入することできるプラスチックケースであったり、水槽でも栽培可能です。
その場合、蓋が閉じっぱなしの前提で湿度は90~100%ぐらいで推移することが予想されます。もし高湿度の環境で育成をされる場合は、水苔をしっかりと絞って根が溶けないように育成することをおすすめします。
どのような環境で栽培をするにしても最低限50%以上の湿度を維持したいところです。湿度が20~30%ぐらいの環境がずっと続いてしまうと、アグラオネマピクタムの葉は黄変してしまいます。
アグラオネマピクタムの温度
アグラオネマピクタムがよく成長するのは体感20~24℃ぐらいです。
理想は1年を通じて、温度差の幅がない環境を用意してあげることです。そうすることによってアグラオネマピクタムはしっかりと次の葉を出して成長してくれるでしょう。
もしきちんとしたデータをとりたいという方は、SwitchBotの温湿度計を利用すると良いかもしれません。
アグラオネマピクタムの水やり
アグラオネマピクタムへの水やりの頻度としては用土が乾いてから水やりをするようにしましょう。
私の場合、半透明のプラスチック鉢を使用しているため、表面の乾き具合ではなく、鉢内の用土の乾き具合を確認して水やりをします。そのため、水やりの頻度として週に1回必ず水やりをしているとかそういったわけではありません。用土でも水やりをしないときは2~3週間しないなどザラにあります。
もし半透明プラスチック鉢ではなく、スリット鉢を使用されている初心者の方はサスティーなどを利用すると良いかもしれません。
枯れないかな?早く成長しないかな?と水やりをしたくなる気持ちは分かりますが、その気持ちをグッと抑えてアグラオネマピクタムへの水やりの頻度は厳しめを心掛けてみてください。自身で決めた週に1回といったルーティンで水やりをするよりも、しっかりと用土が乾いて水やりをする方が株が溶けるといった症状も圧倒的に少なくなると思います。
アグラオネマピクタムの肥料
アグラオネマピクタムに肥料は肥料を与えなくても育ちます(水苔で育つのが良い例です)し、私の実体験から肥料を与え過ぎると葉が肥大化し葉型が崩れたりもします。
ですので、仮に肥料を与えるとしても元肥としてマグァンプKを植え付けるぐらいで、その後液肥を与える場合はパッケージに記載の倍率より薄めにして与えるぐらいで良いと思います。
– 2022.11.17 追記 –
元肥として色々試した結果、個人的に非常に感触の良かった肥料が見つかりましたので、もしご興味のある方は下記記事をご確認ください。
アグラオネマピクタムの成長速度
アグラオネマピクタムの成長速度は非常に遅いです。月に1枚、株によっては2ヶ月に1枚の新芽が展開されるかどうかです。
はやく葉数を増やしたい気持ちはよくわかりますが、焦らずじっくりと腰を据えて育てていきましょう。
アグラオネマピクタムの株分け・増やし方
アグラオネマピクタムの増やし方は「挿し木」と言われていますが、挿し木をしなくても育てていると画像のようなボールが出て、やがてタケノコへと成長します。
成長したタケノコを殺菌したカッターでカットし、傷口を瞬間接着剤で覆うと簡単に株分けすることができます。
アグラオネマピクタムが調子を崩しやすいタイミング
アグラオネマピクタムは、水苔から用土への植え替え後や、季節の変わり目(3月から4月、10月から11月など)、花芽をあげた直後に調子を崩しやすいです。
初心者の方は特に株の些細な変化を感じ取れるようになるまで、日々株を観察するようにしましょう。
特に水切れでもないのに、葉が2枚以上下を向いたり、黄変し始めた場合は、幹の溶けや根の酸欠を疑う必要があります。
アグラオネマピクタムの溶けについて
アグラオネマピクタムはバクテリア感染にともない、茎が溶けることがあります(おそらく軟腐病)。株が溶け始めるとおよそ2枚以上の葉が下を向きます。もし、2枚以上の葉に芯(張り)を感じることができない場合は、すぐに鉢から株を抜いて確かめることを強くオススメします。
また、基本的に幹から下が溶ける場合がほとんどですが、稀に株の上部から溶けることもあります。
アグラオネマピクタムが溶けた場合の対処法について
まずは株をロストしないことが最優先。この優先順位を履き違えるとあっという間に株をロストします。
溶けている部位ギリギリをカットするのではなく、溶けている部分から少し長めにカットするようにしましょう。ただし、長めにカットしても溶けが止まらないこともあります。
アグラオネマピクタムの交配について
画像中央下が花芽、中央上が花
アグラオネマピクタムの花芽と交配については下記の記事で詳しくまとめましたので、もしよろしければこちらをご覧ください。
なお、アグラオネマピクタムの次は花芽があがるサインとして、花芽直前の葉はそれまでの新芽と比較して1回りから2回りほど小ぶりな葉になります。
アグラオネマピクタムは花芽があがると下葉が黄変したり、株そのものが調子を崩しやすいので株の健康状態を踏まえて、花芽をむしるのか、交配をさせるのか判断するようにしましょう。
- アグラオネマピクタムの花粉は保管可能なの?できるならどれぐらい期間可能なの?
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アグラオネマピクタムの花粉の保管は可能です。花粉は3日程度生存しているものと考えられます。
筆者はまだ成熟しておらずタイミング的に合わないであろう雌しべに花粉をつけ、袋を被せていたところいつの間にか受粉していたといった経験を何度かしています。
アグラオネマピクタムの冬越しについて
まとめるのが非常に難しいです。その理由として、それぞれ常湿栽培やケージ栽培、室内温度や湿度など環境が全く異なるからです。
それぞれ栽培環境が異なるというのを踏まえた上で、特に常湿栽培をされている方はしっかりと50℃以上の湿度を保つことのできる環境を用意してあげてください。
ペンギンや葉を全て落として棒になってもいいよということであれば別ですが、湿度を維持できる環境を整えてあげないと葉が蒸散のバランスを保てず、次々と葉が落ちたりペンギン気味になります。
くれぐれもエアコンの風が当たるような場所には置かないでください。
また、部屋の温度も20~24℃をキープしたいのが理想です。冬場はピクタムたちも環境により成長が止まることが予想されますので、春に向けてしっかりと現状の葉数を維持することのできる環境を整えることを意識するようにしましょう。
アグラオネマピクタムの購入方法
一般的な植物屋さんでは中々取り扱いのないアグラオネマピクタム。いくつかの買い方があるので、ここで解説します。
- イベント
天下一植物界、草わるん、トリトン会などで採取者さんから直接買うことができます。また、アクアリウムバスやAQUARIUM NEXTといったイベントで趣味家の方からも購入することができます。 - 籠
AZ便のアズールアクアリウムさんやHeat Waveさんが不定期で開催するウェブショップ。 - ショップ
Heat WaveさんやGreen Noteさんといったアクアリウムを取り扱うお店で購入することができます。 - ヤフーオークション
財力でしばきあうことによって好きな株を確実に買うことができる戦場です。 - メルカリ
安価で買えるかもしれませんが、個人的に初心者が手を出すオススメしません。
個人的には、アグラオネマピクタムを始めるなら葉っぱ3枚ぐらいの子株を5,000円前後の金額でスタートするのがオススメです。
アグラオネマピクタムを始めるなら誰しもアンダマンなどに惹かれるところはあると思いますが、右も左も分からない状態でメルカリ棒や芋の状態で買うのは初心者にはリスクが高いです。下
手すると2~3ヶ月全く変化がなく、株が溶けると同時にあなたの心やモチベーションまで溶かしてしまうかもしれません。
まとめ
色々と筆者の失敗を交え、初心者の目線でアグラオネマピクタムの育て方を書き綴りましたが、初心者はまず1-3株買って経験値を積むようにしましょう。コレクションを増やしたい気持ちは分かりますが、いきなり株を買い揃えるのは危険です。
何より伝えたいことはまずアグラオネマピクタムがしっかりと育つことのできる環境を整えてあげること、初心者の方はこれを意識しましょう。
私の数多くの失敗が、迷彩の底なし沼に足を踏み入れようとする初心者のみなさんの参考になれば幸いです。